ブログ Blog
父母ヶ浜で写真撮影!電動車椅子でも行けた!
地域活動
もう来たことがあるかもしれませんが、父母ヶ浜ってご存知ですか?今日本でもトップレベルに有名なビーチかもしれません。
父母ヶ浜は、 SNS で話題になっている絶景写真が撮影できるビーチです。夕方の干潮時間になると数百から数千人がこぞって写真撮影に来ています。南米ボリビアのウユニ塩湖のような写真が撮れると話題です。(←私はこの湖の方が知りませんでしたが)
海のユニバーサル化に向けた地方独自のアプローチ
日本は四方を海に囲まれ、豊かな自然資源を有しています。しかし、海へのアクセスは都市部では進んでいる一方、地方ではまだまだ限られたものとなっている現状があります。私は、昨年から観光協会さんより依頼を受けて、地元の持つ独自の資源や文化を活かしながら、海のユニバーサル化を進め、誰もが安心して海に触れられる環境を整備することを目指しています。ユニバーサル化はバリアフリー化と混同されがちですが、これらは異なる概念です。以下に、その違いを明確にしつつ、海をユニバーサル化するための地方ならではの方法についても、考えて書いてみたいと思います。
1、バリアフリー化とユニバーサル化の違い
まず、バリアフリー化とユニバーサル化の違いについて説明します。バリアフリー化は、主に障害者や高齢者など、特定の人々が直面する物理的・制度的障壁を取り除くことを指します。たとえば、車椅子利用者が段差のない道を使えるようにすることや、視覚障害者のために点字ブロックを設置することなどがバリアフリーの一例です。
一方、ユニバーサル化は、すべての人が等しく利用できる環境を作ることを目指します。これは、障害の有無にかかわらず、誰もが同じようにアクセスでき、利用できるシステムやデザインを指します。ユニバーサルデザインは、特定の人々に焦点を当てるのではなく、社会全体に対して開かれた環境を作ることを目的としています。ユニバーサル化は、すべての人々が文化、自然、インフラに対して平等なアクセスを持つことを意味し、バリアフリー化を含むより広い概念です。
2、ユニバーサル化に必要なものは設備だけではなく、人の力も必要
地方には、豊かな自然環境や独自の景観があります。これを活かして、自然と調和しながらユニバーサルアクセスを実現する取り組みが考えられます。たとえば、地元のコンテンツや自然素材を使用して、誰もが海に安全にアクセスできる遊歩道やスロープを設置することが挙げられます。例えば、今年の春、三豊市の紫雲出山の完全予約型タクシールートを作った時は、地元の大型の介護タクシーを活用したり、少し道端を景観を損ねないように削ってスロープを作ったりしました。また、地元の職人やコミュニティと協力し、手作り感のある温かみのある環境を提供することで、地元文化の継承にも貢献します。
そして、先日は、もともと地元にあったビーチをユニバーサル化してみました。しかも計画的にというわけではなく、むしろその場のノリのような軽いものでした。具体的には、店舗に立てかけていた分厚めの板を借りて来て、人海戦術で道を作って行くというものです。具体的には見てもらった方が早いと思うので、次の動画を見てみてください↓
そして到達しました!
3、これからは、地域資源を活かした感覚体験ルートや、自然共生型や参加型のユニバーサルアクセスの確立が必要かも
さらに、視覚障害者向けには、地域の自然の音や香りを活用して、五感で海を楽しむことができる感覚体験ルートを設定することも一案です。聴覚や嗅覚を頼りに海に近づく体験を通じて、視覚情報に頼らない形でのユニバーサル化を促進します。
他にも、地方の強みとして、地域コミュニティの強いつながりがあります。これを活かし、地域住民が主導する参加型の海洋教育プログラムを展開することは、海のユニバーサル化に向けた有力なアプローチです。例えば、今後地元の漁師や自然保護活動家が講師となり、地域の自然環境や海洋資源について学ぶワークショップやツアーを開催することが考えられます。これにより、海に対する理解を深めるだけでなく、地元の文化や知識を後世に伝えることができます。
また、こうしたプログラムは、障害のある方や高齢者、子どもなど、さまざまなバックグラウンドを持つ参加者に対しても開かれたものにすることが重要です。ユニバーサルデザインの原則に基づき、誰でも参加できるように、必要なサポート体制を整えたり、簡易な言葉や図解を用いた説明を行うなど、すべての参加者が等しく楽しめる環境を整備することが必要です。
4、海洋リゾートのユニバーサルデザイン化による観光促進
地方の観光業は、海を中心としたリゾート開発に依存していることが多いです。そこで、海洋リゾート施設をユニバーサルデザインに基づいて整備することで、観光のアクセシビリティを向上させることができます。具体的には、海に直接アクセスできる車椅子対応のビーチエントリー(←これがまさに今やっているやつでしょう)や、視覚障害者向けの音声ガイド付きマリンアクティビティなどを導入することが考えられます。また、観光地全体で、障がいの有無にかかわらず、すべての人が快適に過ごせるよう、宿泊施設やレストラン、公共交通機関のユニバーサル化を推進することも重要です。
さらに、地方ならではの特色を持つ海の魅力を多くの人に伝えるためには、オンラインでの観光体験の提供も一つの方法です。例えば、視覚に障害がある方に向けた海の音や波の感触を伝えるVRコンテンツや、聴覚に障害がある方に向けた手話付きの動画ツアーなど、多様な観光体験をオンラインで提供することで、地方の海の魅力をより広く発信することができます。
5、最後に
海のユニバーサル化は、すべての人が海に対して等しくアクセスできる社会を目指す重要な取り組みです。バリアフリー化が特定の障壁を取り除くことに焦点を当てるのに対し、ユニバーサル化は、誰もが同じように利用できる環境を作り出すことを目指しています。(前回のブログ記事を参照 )
地方の強みを活かした自然共生型のアクセス整備、地域コミュニティによる教育プログラムの展開、ユニバーサルデザインを取り入れた食や観光促進など、地方ならではのアプローチが、海のユニバーサル化において大きな可能性を持っています。
しかし、すぐにお金の投入やリゾート化していくのは難しすぎる。だからこそこういう時は、合理的配慮がどれだけ提案できるかは重要な行動です。
これからの時代、誰もが海を楽しみ、触れることができる環境を整えるためには、地域の力を活かしつつ、多様な人々が参加できる仕組み作りが求められています。地方発のユニバーサル化の取り組みは、未来の海を誰もが共に楽しめる場所へ変えて行くものです!